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最高裁判所第三小法廷 昭和37年(あ)1976号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人荒川正一の上告趣意について。

所論は、原判決には、刑訴二三五条親告罪の告訴期間に関する解釈を誤ったか、審理を尽さなかったかの違法があるというが、単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由に当らない。(なお、刑訴二三五条一項にいわゆる「犯人を知った」とは、犯人が誰であるかを知ることをいい、告訴権者において、犯人の住所氏名などの詳細を知る必要はないけれども、少くとも犯人の何人たるかを特定し得る程度に認識することを要するものと解すべきである。従って、所論の本件各事実につきなされた告訴が、いずれも適法有効である旨の原判断は、原認定の事実関係のもとにおいては正当である。)

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 柏原語六 裁判官 石坂修一 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 横田正俊 裁判官 田中二郎)

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